No.138 <大いなる家族ー戦後川崎ものがたり>

 5月2日(木)、ずっと楽しみにしていた川崎市民劇「大いなる家族」を見てきました。皆さんもご存じの通り、まぶねのMさんが出演するからです。 初日の晩は、5名がまぶねからは来ていました。初日だけあって、ほぼ満席の盛況でした。

物語は、空襲で焼け残った川崎で、生き抜いてゆく人々の群像劇です。1945年から朝鮮戦争が停戦になる1950年代まで。川崎に移住した沖縄の人々の心のよりどころになっている居酒屋「海ぶどう」が、メインの舞台でした。日本の敗戦と共に、沖縄はアメリカに占領され、本土に来ていた沖縄の人々は帰れなくなり、琉球舞踊と琉球三味線を次の世代に伝えてゆこう、とする琉球舞踊の先生たち。

そのうちの一人がMさんの役でした。また、婚約者を戦争で亡くした小学校の先生が、戦争孤児になった教え子を励ましながら、教職員組合の活動にも取り組んでゆく姿も描かれます。また、婚約者が戦争で亡くなった真相を、婚約者の同僚より知らされて大きなショックを受けます。化学者として軍の仕事をしていた婚約者は、登戸研究所で毒薬の研究をし、化学兵器を作っていたこと。その良心の呵責に耐えかねて自決したこと、を知らされます。立ち直れないほどのショックを受けた彼女でしたが、教え子の励ましを受けてもう一度、教壇に立つ決心をします。そのうちに朝鮮戦争が勃発し、居酒屋「海ぶどう」に出入りしていた朝鮮人の金さん夫妻の家族も、引き裂かれてしまいます。朝鮮特需でわく日本、社長さんは喜ぶが、金さん達はひたすら戦争が終わるのを願う。また、警察予備隊が出来て、そこに入隊する元兵士…様々な角度から悲しみと希望とが描かれる群像劇でした。琉球舞踊が夢のように美しく、いつまでも見ていたいと思いました。「沖縄の人達は、踏まれても踏まれても、そこを生き抜いてきたの。だから琉球舞踊は人の心を打つのよ。」という言葉がありました。戦後の川崎を生き抜いた無名の人々の優しさと強さが胸に沁みる劇でした。まだ見ていない方は必見です。5月24日(金)、25日(土)、26日(日)川崎市教育文化会館(川崎区)で、次回は開催です。