まぶね日誌 追悼:T・Nさん「主はあなたがたの真ん中に」


 Nさんが、1月8日(月)、入院先の病院で肺炎のため天に召されました。享年88歳。知らせを受けて駆け付けた病床でのNさんのお顔は、血色がよく今にも起き上がりそうな生き生きとしたお顔でした。愛する息子さんに看取られて幸せな最期であったと思います。
 Nさんは、短大時代に洗礼を受けられ、その後、福祉関係の仕事に就き、同じ職場でT先生と出会い結婚されました。その後、T先生が牧師を志し、学業に励んでおられた時には、仕事をしながら家計を支えました。そして教団の4つの教会に赴任され牧会したたT先生を支え、ご自身も福祉関係の仕事も継続されました。二人三脚で奉仕の道を歩んでこられたお二人でした。まぶね教会の礼拝に出席されるようになったのは、T先生が引退されて麻生区のご自宅に引っ越してこられた2008年からです。私が赴任した2010年の5月、初めてT先生夫妻を訪問した時に、Nさんとはじめてお目にかかりました。「新しい牧師先生のためにいつも祈っていました」とT先生から暖かい言葉をかけていただきました。
 翌月の6月に、Nさんの久しぶりの検診にMさんと共に付き添った時に、Nさんは即入院となり、そこから療養生活が始まりました。最初の病院からに別の病院へ転院となり、その時期の2012年T先生が天に召されました。少し認知症がはじまっていたNさんに夫の死がわかるか心配しましたが、「お父さん、ゆっくり休んでください」と声をかけてくれて、皆、心を動かされました。
 その後、籍のあった教会より、Nさんの教会籍をまぶね教会に移したいという打診があった時には、教会の交わりのありがたさを思いました。Nさんへの感謝の思いからでしょう。人生の最後の見取りをお願いしたいということだ受け止めました。役員会では重い責任を自覚しつつ受け入れる決断をし、201312月に息子さんを代理人として転入会式を行いました。お見舞いに行くと、Nさんは次から次へと讃美歌を歌われました。声が出なくなっても、私たちが讃美歌を歌うと唇を動かして歌おうとなさっていました。そのNさんの姿に並々ならぬ彼女の信仰生活を伺い知る思いがしました。「二人また三人が私の名によって集まるところには、わたしもその中にいるのである」(マタイ18:20)というイエスの言葉。元気に奉仕をなさっていた頃のNさんを私たちは知らないのですが、Nさんと私たちの関わりの真ん中に主がいてくださった、Nさんの優しさ、暖かさ、隠れた犠牲が主によって祝福されていた、と今、信じることができます。他者への奉仕の生涯を生き切ったNさんに心から感謝。(石井智恵美)