こども夏期キャンプ「大自然のめぐみ」③



羽化したばかりの薄緑色の蝉

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2日目のハイライトは、なんといっても夜の「ナイト・ウオーク」。夜の森をガイドの人と一緒に歩くのです。集合場所のビジター・センターまで、懐中電灯を手に夜道を歩いていると、K君が道の真ん中で偶然、兜虫を見つけました。K君はキャンプでは兜虫を捕まえる、と心に決めてきていて、そのためカブトムシ用のゼリーも持参してきていました。この発見に皆大喜び。さて、ナイト・ウオークは、ガイドのTさんが案内してくれました。Tさんは「これは肝試しではありません。だから怖い人は遠慮なくいってください。でも僕は15年ガイドをやっていますが、一度もおばけにあったことはありません。」と話をしてくれました。それから、まず星をみあげて、「これが最後の街灯です」というところで懐中電灯を消して、星を見上げました。数えられる星の数は増えていました。「光のところにいると暗いところは見えないよね。でも逆に暗いところから見ると明るいところはすごく目立つってことがよくわかるでしょう。だから、人間には動物は見えないけど、動物は人間のことをよく見えているんだよ。」とTさん。光と闇を共に見る動物のまなざしは神様のまなざしのようだ、と思いました。それから、ペアになって懐中電灯を二人の内に一人だけが灯して、ゆっくり湖の岸辺の方へ降りてゆきました。だんだん目が慣れてきて、河原の白い石に映っている、山の影と月の光に照らされた河原とが判別できるようになりました。木の間から見える満月の光がこうこうと照らしていました。「じゃあ今度は、全部の懐中電灯を消してみよう。」するとこどもたちも「満月って太陽みたい!」と驚いていました。それから、ペアになって隣の人から5メートル位離れたところにいって沈黙してみました。しーんとした湖の河原に、川の音が響いて、ときどき寝ぼけた蝉の声、虫の声が聞こえてきます。いろんなことを考えました。また皆が集まると田端さんは「地球には60億の人が住んでいるけれど、電気を使って生活している人は半分位と言われいます。だから30億位の人は、電気を使っていない、こんな満月を見て、夜をすごしているんです。皆は今頃の時間は、何をしている?」こどもたちは、「テレビを見ている」「お風呂に入っている」「ご飯を食べてる」との答え。「そう、今度家に帰ったら、その時間に山のふるさと村で、満月を見上げて、電気がなくても明るくて夜の道を歩けたってことを思い出してみてください。」みんなすっかり夜の様々な顔を体験できて、豊かな気持ちで家路につくことができました。光と闇の世界、人間以外の動物のこと、地球上の人々のことに思いをはせて、皆この大自然に抱かれている神様のこどもなんだって実感しました。